患者さまの声

沼田さん

沼田さんインタビュー 中編

自由食になってから

食事制限がなくなって生まれた
心のゆとり

初めて透析をすることになった19年前、わたしはある本を読み、そこに書かれていたことにショックを受けました。それは、食べても問題ないと思っていた煮物やおせち料理さえも制限をしなければいけないということ。それでも体のことを第一に考え、きちんと食事制限をして自己管理。ただ、体はどんどん痩せていき、精神的にも辛い10年という歳月を過ごしました。
かもめ・みなとみらいクリニッで長時間透析をするようになってからは状況が一変。食事制限をする必要もなく、体重は増えましたし、何よりも気持ちが楽になりました。昔はあまり好きではなかった牛肉も、筋肉のもととなるたんぱく質を摂るために食べていたら、いつの間にか好きになっていて、改めて食べることの楽しさを感じています。

食事制限をしていた頃
ごはんを食べる場所は台所だった

厳しい食事制限をしていた頃、卵は1日に半分まで。そんな風にすべて決められた量だけを食べる食事が、楽しいはずありません。特に一人のときは、台所でお茶碗にごはんとおかずをのせ、立ったまま食べていました。食卓でゆっくりイスに座ることもないくらい、あっという間に済んでしまうものでした。でも、自由食になった今は、卵を1日2個食べることもあります。長年の食事制限で胃が小さくなっていることもあって、もう暴飲暴食はできませんが、好きなだけ食べることができるようになりました。

きちんと自己管理をすれば
友人との外食も楽しめる

自由食と言っても、それなりに自己管理は必要だと思っています。たとえば、お店でラーメンを食べるとき、わたしは麺を少なめにしてもらいます。塩分の制限はないので塩分自体の量は問題ではないのですが、辛いものを食べると水をたくさん飲みたくなるので注意が必要です。
また、友人と食事に行った時には同じ料理を食べるので、どうしても塩分の調整が難しく、のどが渇きやすくなります。そんなときは水をがぶがぶ飲むのではなく、果物を食べて、のどの渇きを抑えるようにしています。ただし、果物に多く含まれるカリウムは、透析患者にとって一番の敵。なので、カリウムを吸収する薬を一緒に飲むようにしています。

先生が気にかけてくれるのは
「食べていないか」より「食べているか」

金田先生は「皆さんが太ったのは僕のせいです」なんて言いながら、患者さんが十分な食事を摂っているかを気にしてくれています。これは、食事制限が厳しかった前の施設では考えられなかったこと。わたしは自由食になって以降、一時は体重が9kg増えました。それから自分で気をつけて5kg減らし、ここに来る前に比べて体重は4kg増。自分の感覚ですが、これくらいがちょうど良いのではと感じています。
また、体重以外にも目に見える変化がありました。それは、黒っぽくなっていた肌の色がだんだん明るくなって、透析を始めた19年前の肌の色に少しずつ戻ってきていることです。特に外見を気にする女性にとっては、非常に嬉しいことだと思います。